授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.02
畜産の体験学習を行いました!

日時:2023年8月11日(金・祝)10:00〜16:00
会場:高宮実験牧場、広島和牛歴史資料館、JA全農ひろしま 畜産事務所

大きな牛をかわいいと感じた、貴重なふれあい体験。

大きな牛をかわいいと感じた、貴重なふれあい体験。大きな牛をかわいいと感じた、貴重なふれあい体験。

安芸高田市にある高宮実験牧場に到着。
約800頭の和牛を飼育しているJA全農ひろしまの直営牧場です。
場長のJA全農ひろしまの小林先生が、牧場の目的と役割について話しました。
「牛に愛情をもって接して、餌を与え、大きくなるようにお世話をしています。他にも、餌によってどのような成長の違いや変化がみられるのか、研究を行っています」

楽しみにしていた餌やり体験

楽しみにしていた餌やり体験。牧草を手でほぐしながら与えます。モグモグ食べている様子を間近で観察できます。「こんにちは!」と声をかけて、頭をなでる子ども。牛の鳴き声に驚いた子ども。牛にエプロンを食べられた大学生スタッフもいました。

楽しみにしていた餌やり体験楽しみにしていた餌やり体験

「大きくてビックリした」
「餌をやると食いついて、懐いてくれて、かわいかった」
「初めての餌やりは楽しかったけど、毎日仕事でやるのは大変だと思った」
子どもたちにとって、牛とのふれあいは今後につながるいい体験でした。

小林先生への質問コーナー

小林先生への質問コーナーが始まりました。

  • 塾生「牛の鼻輪は、何のためにあるの?」
  • 小林先生 「大きく成長した牛をラクに移動させるためです」
  • 塾生「餌は、毎日やっているの?」
  • 小林先生「食事は牛の楽しみなので、同じ時間に同じ量を与えています」
  • 塾生「虫に刺されて、病気になったりしないの?」
  • 小林先生「皮膚に毛が生えているし、人間よりも硬いです。刺されて腫れることはあっても、病気にはならないです。尻尾がハエたたきの役割にもなっています」
  • 塾生「ツノは切らないの?」
  • 小林先生「危ないので切りたいけど…。ツノは骨ではなくて皮、切ると痛がるので切らないです」
牛の寝床に敷いているおがくずと排泄物が混ざったものを発酵させ、堆肥にしているそうです

堆肥の製造現場に移動しました。牛の寝床に敷いているおがくずと排泄物が混ざったものを発酵させ、堆肥にしているそうです。その堆肥は米や野菜づくりに役立てられ、収穫した米のワラを牛が食べる、自然に優しくムダのない『循環型農業』を、ここでは実践しています。
子どもたちは、堆肥の山に手を突っ込んでいました。中は熱く、発酵熱によって60℃以上あるようです。

みんな、堆肥の温度と感触を確かめることができました

「堆肥の茶色のところは少し温かくて、白っぽいところがめちゃくちゃ熱かった。冬だったらちょうどいいのになぁ〜」
みんな、堆肥の温度と感触を確かめることができました。

1000年以上の歴史、広島和牛の世界にタイムスリップ。

広島和牛歴史資料館の見学広島和牛歴史資料館の見学

次は広島和牛歴史資料館の見学です。広島和牛の歴史と伝統を体験できる施設で、貴重な資料が展示されています。
パネル展示を見ながら、JA全農ひろしまの河内先生がわかりやすく解説していきました。
和牛の産地広島の起源や和牛改良の礎になった最古の蔓牛(つるうし)の紹介。大正天皇御大葬の儀で、広島和牛が棺を引く奉引牛として選ばれた、その当時の映像を見ることができました。和牛オリンピックでの実績や広島和牛ブランドの紹介コーナー、理想的な栄養バランスを備えた混合飼料TMRなど、大昔の出来事から最新の技術までを学べる機会となりました。
資料館で印象に残っていることはそれぞれでした。

「広島和牛が1000年の歴史もあるのでビックリした」
「血統の大切さや、今も続いていることを学べた」
「棺を運ぶのは人間がやることだと思っていたのに、牛ってすごいことができるんだなぁ〜。古い時代についても知ることができてよかった」

美味しいだけではない、商品開発のヒントもいただきます。

昼食は、広島和牛のカルビ弁当。

昼食は、広島和牛のカルビ弁当。
「絶対、これうまいやつだ!」
お弁当を前に、子どもたちは待ちきれない様子です。
いただきますの前に、大野先生が一言。
「みんなが最終的に販売する、和牛丼の商品開発の参考になると思いませんか?このお弁当はひとつ1,300円です。値段と味のバランスをしっかり感じながら食べてください。ビジネス感覚をもってね」

子どもたちは、広島和牛の博士になる。

広島和牛についてのワークショップ広島和牛についてのワークショップ

午後からは、広島和牛についてのワークショップです。
授業を始める前に大野先生が話しました。
「午前中は和牛とふれあいました。歴史を勉強しました。それらは、和牛丼の商品開発や販売に必ず役立ちます。みんなには “広島和牛の博士”になってほしいので、次の授業もがんばりましょう!」
JA全農ひろしまの渡部先生の授業です。国産牛と和牛の違いや和牛の品種の特徴を教わり、
広島和牛ブランドの説明では、『比婆牛』、『神石牛』、『元就』、それぞれの商品に貼るシールを見ながら説明を受けました。

子どもから質問がありました。
「元就のシールが2種類あるのはどうして?」
渡部先生がいい気づきに喜びながら、説明をしました。
「黒いシールは広島血統の“元就”。赤いシールは、そのなかでも肉質等級指定の最高級ブランド“侍BEEF元就”で、グレードが高いお肉です」

こんな質問もありました。
「どうして広島以外で“コウネ”を食べていないの?」
渡部先生は広島の食文化にふれました。
「広島以外の地域ではコウネを含んだ前バラの部位をスライスして出荷しています。コウネだけを食べるのは広島ならではなんです」

広島和牛についてのワークショップ

和牛の生産数や販売額などの都道府県ランキングでは、広島県が低いことを知りました。
また、牛肉のランクの説明のなかで、渡部先生はとても大切なことを話しました。
「和牛は脂に甘味があって美味しいのが特徴です。海外では、サシが入っているのが和牛だと認知されています。和牛は世界に通用する日本の宝です」

広島和牛についてのワークショップ広島和牛についてのワークショップ

クイズ形式の楽しい学びもありました。
「初めて和牛という名称を使用したのは、どこ?」、「日本で消費している牛肉のうち、国産の割合は?」、「牛一頭からとれる、食べられるお肉の割合は?」など、チームごとに考えて答えを予想しました。

和牛といえば、広島和牛とイメージしてもらうために。

広島和牛についてのワークショップ

渡部先生から、広島和牛の課題が伝えられました。
「広島和牛の消費や需要が減っています。他の和牛ではなく、どうすれば広島和牛を買ってもらえるのか、選びたくなるのかを考えてPRしています」
子どもから質問がありました。
「PRのときに、心がけていることは何ですか?」

渡部先生は答えました。
「広島和牛の歴史、魅力を地道に発信し続けることです。海外の人は、一番食べたい和牛は神戸ビーフと言います。それは有名だからです。広島和牛と聞いても想像がつかない。だから、その特長を伝えていきたいです」

豊永先生からも質問がありました。
「三大和牛と広島和牛を食べ比べたとき、味の差はどうなのでしょうか?」
渡部先生は即答しました。
「もちろん、好きなのは広島和牛です。美味しさは一人ひとりの好みになります」
豊永先生も安心したようです。
「おいしさの部分で劣っているわけではないんですね」
渡部先生は深く頷いていました。

広島和牛の課題解決のために、チームでアイデアを出し合いました。

広島和牛についてのワークショップ広島和牛についてのワークショップ

「試食をしてもらう」
「牛のことを知ってもらえて、みんなで楽しめるカードゲームを開発する」
「広島牛を使った新しいアレンジ料理を作る」
「和牛フェアを開催する」「ふるさと納税の返礼品にしてPRする」
「日本への旅行者向けに外国語のポスターを作る」
「和牛体験ができる牧場交流会を開催する」
知ってもらう、食べてもらう機会を提供する数々のアイデアでした。

最後に、渡部先生のあいさつで締めくくりました。
「みんな意欲的に取り組んでくれて、ありがとうございました。苦労して準備した甲斐がありました。今日の体験を周りのお友達やお家の人に伝えてくれるとうれしいです」

2023年度 第2期生「畜産の体験学習」

学びのあとには、子どもたちのこんな感想が聞かれました。
「広島は、和牛をたくさん育てているイメージだったけど、他の県より低かったのでがんばってほしい!」
「広島の和牛は美味しいから、家で肉料理を食べるときは、どこの産地か気にしている」
「課題解決のアイデアは、何か工夫できることがないかなと思って、真剣に考えた」
「チームで協力したら全部で12のアイデアが出て、全部実行できたらいいなと思いました」

大学生スタッフお二人にも聞いてみました。
「子どもたちは、餌やりに興味津々で、この貴重な体験が夏休みの思い出になるのかなと感じました。起農みらい塾に参加しているからこそですね。私も子どもたちと体験するうちに、牛が愛おしくなりました」
「今は、みんな農業のこともあまり知らない、ビジネスのこともよくわかっていないと思います。でも、授業を重ねてさまざまなことを体験・吸収して、最終的に販売するときには、商品の価値を理解した上で利益を出す仕組みを知り、子どもたち自身が考えてうまく行動できるようにサポートしたいです」

「スライドを見せて淡々と学ぶのではなく、それに対して子どもがどう考えたか、感じたかを求める対話の授業スタイルがいいですよね。先生の進め方の上手さもありますし、ひとつの答えにこだわっていないので、子どもたちが生き生きしていました」
「広島の農業について、子どもたちといっしょに考えて課題を解決する、普通の学校では学べないことを身につけて成長するためのフォローを心がけてがんばりたいです」

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