授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.02
お金を稼ぐ擬似体験と商品アイデアを練り上げる授業でした!

日時:2026年8月29日(土)10:30~15:300
会場:イノーベーション・ハブ・ひろしまCamps

食や農業の厳しい現実を知る!問題解決のために、できることは!?

2026年度 第1期生「入塾式」&「第1回授業」

最初の授業は、「日本と広島の『食』と『農業』のおはなし」でした。講師は、JAグループ広島で広報を担当している井口先生です。

授業ではまず、農業や地域を応援するJAグループの取り組みや役割について紹介する映像を全員で視聴しました。JAは農業に関する活動だけでなく、地域を元気にするためのさまざまな取り組みを行い、その根底には助け合いの精神があることを学びました。

続いて先生は、『地産地消』の意味を伝えたうえで、塾生に問いかけました。
「普段の食事で、広島県産のものがどれくらいの割合を占めているかわかるかな?」
国内産か海外産かを意識することはあっても、地元産かどうかは考えたことがないという塾生が多く見られました。

その後、広島県は多彩な地形や気候に恵まれ、日本の縮図ともいわれるほど食材の宝庫であることが紹介されました。一方で、広島県の食料自給率は約22%と全国的に見ても低い水準にあることも伝えられました。
広島県の農業を取り巻く現状についても説明があり、この10年で農家の数がほぼ半数まで減っていることや、高齢化が進み、65歳以上が約80%を占めていること、さらにその割合は全国でも特に高いことを知りました。加えて、広島県は中山間地域が多く、農作業に不利な土地条件を抱えていることも学びました。

厳しい現実を知った塾生からは、不安をにじませる感想も聞かれました。
「お年寄りの農家さんが多いので、農業をやめる人が増えたり、作る量が減ったりして、食べ物がどんどんなくなってしまうかも…」

先生は塾生の思いを受け止めながら、問いかけました。
「食や農業にはたくさんの課題がありますが、それを解決するために自分たちにできることは何だろう?」

「広島県で作られたものを買って、たくさん食べる」、「農家さんの作業を手伝う」などの意見がありました。

先生は塾生の意見をふまえ、話し始めました。
「このままでは食べ物の価格が上がったり、気軽に手に入りにくくなったりするかもしれません。広島県産や国産のものを意識して選び、食べることで応援してほしいです。直売所や道の駅に行ったり、農業イベントに参加したりして、食や農業にもっと関心をもってほしいです」
JAグループ広島では、そのための情報発信として、SNSや動画共有サイトを活用しているそうです。

最後は、先生から塾生へ期待を込めたメッセージでした。
「みなさんもJAグループの仲間として、広島県の農業や食を守るために力を貸してほしいです。これからの授業で学んだ成果を秋の販売実習で見せてください。そして、今ある課題を解決するようなアイデアをぜひ教えてください。みなさんの成長を楽しみにしています」

売り上げを左右する選択!農業経営ゲームでお金の使い道をしっかり考える

次の授業は、お金の使い方や稼ぎ方を学ぶ農業経営のシミュレーションゲームです。はじめに、JAバンク広島の平林先生からルールの説明がありました。
塾生はそれぞれ社長になり、育てた野菜の収穫量やお金の出入りをシートに記録しながらゲームを進めます。最後に、収穫した野菜をJAに販売し、どれだけ利益を出せたかを競う内容です。

最初は1,000コインからスタート。ナス、トマト、きゅうりの中から育てたい野菜の苗を2種類選び、1種類につき300コイン、合計600コインで購入しました。この時点で、手元に残ったのは400コインです。

次に、野菜を元気に育てるための肥料選びです。自然の力で作られた肥料は100コインで、収穫量が100kg増えます。一方、化学肥料は200コインで、収穫量は200kg増えます。

身近なおこづかいを通して、お金の役割・価値を理解し、使い方を考える。

「高くてもたくさん収穫できる方がいい」
「お金が減るのはイヤだからこっちにする」
塾生たちは、悩みながら選び、使った金額や残ったお金、収穫量などをシートに書き込んでいきました。

その後は、畑を耕すための農機具を購入しました。400コインの最新型か、200コインの中古品、どちらかを選びます。中古品の収穫量は300kgですが、最新型は600kgになる場合もあれば、300kgになることもあり、より多く収穫できる可能性がある一方、思うような結果にならないリスクもありました。

最新型を選ぶには手持ちのお金が足りないため、JAバンク広島から500コインを借ります。返済時には手数料を含めて600コインが必要です。ゲームとはいえ、お金を借りることに不安を感じ、真剣に悩む塾生の姿が多く見られました。

最新型の収穫量は、先生が伏せた2枚のカードのうち1枚を引いて決まります。結果として中古品と同じ300kgになり、お金を借りて最新型を選んだ塾生の叫び声と残念そうな表情が見られました。
「人生なにがあるかわからない」
塾生が発した言葉がとても印象的でした。

さらに、100コインで農薬を買うかどうかも選択しました。買わなければ病気や害虫への抵抗力は弱くなりますが、無農薬野菜として収穫できます。塾生たちは、こうした選択を重ねながら、楽しみつつ農業経営の難しさを体験していきました。

ゲームの途中、先生から思いがけないトラブルが起こったことが伝えられました。
「みんなが育てている野菜の中から1種類だけ病気になってしまいました」
病気になった野菜は150kg収穫量が減ることが発表され、カードを引いた結果、病気になったのはナス。ナスを育てていた塾生は大きなショックを受けていましたが、農薬を買っていた塾生は、被害を受けずにすみました。

先生は、塾生たちの興奮を抑えるように、ゆっくりと語りかけました。
「農家さんには、台風や獣害など、さまざまなアクシデントがあります。みなさんが普段食べている野菜は、そうした困難の中でも農家さんが工夫しながら一生懸命育てたものです。食事をするときは、そのことを想像してみてくださいね」

その後、育てた野菜を収穫してJAに販売し、収入を計算しました。塾生一人ひとり、これまでの選択や途中の出来事によって収穫量が異なり、結果にも差があらわれました。

さらに、「超有名な動画配信者が広島のある野菜を紹介してくれました」というニュースが入り、ナスを育てていた塾生には300コインの追加ボーナスが与えられました。また、無農薬野菜がテレビ番組で特集され人気になったことで、農薬を買わなかった塾生には100コインの追加ボーナスもありました。

最終的なお金の計算です。お金を借りていた塾生は600コインを返済し、残ったお金に売上を加えました。結果として、全員がゲーム開始時の1,000コインを上回り、利益を出すことができました。
利益が1,300コイン以上だった上位3名の工夫したポイントです。
「高くても化学肥料を選んで収穫量を増やした」「農機具は中古にして、お金を借りないようにした」
それぞれの判断が結果につながったようです。

先生は、計画的にお金を使うことや将来のために備える大切さについても話しました。
「お金はよく考えて使うことが大切です。肥料を選んだり、さまざまな分かれ道で利益に差が出ましたよね。普段モノを買うときも、それがどんなモノなのか、ほかと比べてどうなのかを意識して、本当にいま必要なのかを考えて使ってほしいです」

そして先生は、お金をたくさん稼ぐことだけが幸せにつながるわけではないことにもふれ、授業を締めくくりました。
「農家さんは利益を出すためだけに野菜を作っているのではなく、みなさんに美味しい野菜を食べてほしいという思いで育てています。たくさんの工夫やお金、手間をかけて作られています。野菜に限らず、モノを買うときには、それを作っている人や、どのような工夫が込められているのかを考えながら、お金を使う習慣を身につけてほしいです」

学ぶ姿勢を示したみんなのスローガン!『楽 進 農 協 たすけあい』

午後の授業は、起農みらい塾第5期生のスローガン作りから始まりました。スローガンは、これからの学びの目標や思いを、短く覚えやすい言葉にした、みんなの合言葉です。

はじめに大野先生から、参考として昨年の第4期生のスローガン「協 学 伝 笑」が紹介されました。
2年目の塾生が、その意味を発表。
「協力しあって学び、伝えあい、笑顔で最後まで頑張る起農みらい塾です」
教室には、昨年の学びの空気が一気に広がりました。

その後、2年目の塾生が各グループに一人ずつ加わり、頼もしいアドバイザーとしてスローガン作りを支えました。話し合いを進める中で、各グループが考えたスローガンをホワイトボードに書き込み、4つの案が出揃いました。

A-1 「た す け あ い」
※「たくさんの人と、すこしずつ、けっして、あきらめず、いつもえがおで」という思いを込めた、あいうえお作文。

A-2 「農 知 楽 進」(のうちらくしん)
※農業を知り、楽しく進んでいこうという意味をあらわした言葉。

B-1 「協 挑 楽 進 収」(きょうちょうらくしんしゅう)
※失敗しても協力しながら挑戦し、楽しく学び、進んで、収穫へつなげていく意気込みが伝わる言葉。

B-2 「支 楽 自 来」(しらくじらい)
※支え合い、楽しむ、自由・自立、未来の意味。

A-1とB-1グループは5期生にちなみ、5文字にしたそうです。

続いて、起農みらい塾全体のスローガンとして一つにまとめる作業に取り組みました。各グループの案の中から共通する言葉や漢字を抜き出し、順番を入れ替えながら、言いやすさや覚えやすさを確かめていきました。

こうして第5期生のスローガンが決定。
『楽 進 農 協 たすけあい』(らくしんのうきょう たすけあい)
親しみやすさがあり、仲間と支え合いながら楽しく学び、前に進んでいこうとする姿勢が感じられる言葉となりました。

ぶどうジャムの魅力を引き出す、商品アイデアをブラッシュアップ!

10月の販売実習で扱う商品の企画アイデアをまとめる時間になりました。
大野先生は、前回の授業で出されたぶどうジャムを使った新商品の案をさらにブラッシュアップするよう呼びかけました。
「商品化に向けて、専門家にアイデアを持ち込んで相談します。実現できる商品を絞り込み、さらに魅力的なメニューにするために、具体的な内容を詰めていきましょう!」

塾生たちはアドバイスを受けながら、美味しさや食べやすさ、見た目のよさといった視点で材料を選び、デコレーションやトッピングの工夫についても話し合いを深めていました。なかには価格設定まで考えるグループもあり、タブレットを使って商品のイメージイラストを描く姿も見られました。

最後に、各グループが一押しのアイデアを発表しました。

A-1 「ホイップをクレープ生地で包み、その上にぶどうジャムをのせる」
A-2 「マフィンにぶどうジャムをかける」
B-1  第1希望「一口サイズのパンケーキにホイップをのせてぶどうジャムをかける」
    第2希望「ロールケーキのような形にして、中にぶどうジャムを入れたミニクレープ」
B-2 「かき氷にぶどうジャムをかける」

どの案も、ぶどうジャムの魅力を活かす個性的なアイデアでした。次回からは、ぶどう農園の見学・収穫体験に加え、商品企画や企業のビジネスについての学びも重ねていく予定です。こうした実践的な学びを通して、子どもたちのアイデアがどのような商品として形になっていくのか、今後の展開をご期待ください!

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