授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.03
「第3回 生産現場訪問授業」
ミニトマトの農場での体験と農業ビジネスを学びました!

日時:2022年8月7日(日)10:00~16:00
会場:「〈圃場〉Farm Takeuchi」、広島市安公民館

前回に引き続き現場訪問授業、第2弾です!広島駅北口から「起農みらい塾」のバスに乗り込み、安佐南区高取北にある「Farm Takeuchi」のミニトマトの農場を目指しました。高台の団地内の露地を進み現地に到着。住宅街と共存する都市農業でした。

ビニールハウスの中には、赤い宝石のようなミニトマト、
子どもたちの笑顔も輝く。

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今回ご協力いただく「Farm Takeuchi」農場長の箱崎先生をはじめ、スタッフのみなさんも塾生を迎えてくれました。午前中はグループごとにミニトマトの『収穫』、『パック詰め』、『スマート農業』の3つをローテーションで体験・学習していきます。ちなみに、こちらで栽培しているミニトマトの品種は「アイコ」とJA全農ブランドの「アンジェレ」です。
子どもたちは手袋を着け、大きな収穫カゴを抱えて、ビニールハウスへと入っていきました。ハウス栽培は露地ものと違って、茎を真上でなく斜めに伸ばしています。ミニトマトは下になっているのでしゃがんだ姿勢での収穫で、赤く色づいたものは全部採ってOK!Farm Takeuchiの女性スタッフからミニトマトをヘタと一緒に上手く採るコツも教わりました。ハウス内は40℃近くに達していましたが、子どもたちは元気いっぱい、収穫カゴもあっという間にいっぱいになりました。

「第3回 生産現場訪問授業」ミニトマトの農場での体験と農業ビジネスを学びました!

一個入れては戻すの繰り返しで手探りの体験。
一つの商品にするための大変さを実感。

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次は作業場でパック詰めです。秤に空のパックを置き、先ほど収穫したミニトマトを入れて合計210gになるように調整します。誤差なく重さを合わせるのにみんな一苦労ですが、子どもたち一人ひとりに2パックお土産としていただけるので、それが今回のノルマです(笑)。ぴったりと重さが合った瞬間の子どもたちの笑顔は最高でした。Farm Takeuchiのスタッフは1パック詰めるのに、10秒もかからないということ、さすがプロです。詰めたら商品シールを貼れば完了。バーコードの読み取りに支障がないよう貼り方も学びました。パック詰めは見映えも大事で、詰め方や向きなどについても教わりました。

システムユニットや実際に動く窓やカーテンを見ながら、
スマート農業の技術力を知る。

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ハウス内では箱崎先生のスマート農業の学びが始まりました。システムの電子回路については完全独学で制御ユニットは自作、自分で部品を取り寄せて製作したとのことです。
次はシステムの説明です。ハウス内のモニタリングユニットがミニトマトの成長に欠かせないハウス内の光と温度、湿度、二酸化炭素の濃度を計測。そのデータはどこにいてもスマートフォンから確認できるそうです。さらに制御ユニットがデータに基づいて、ミニトマトにとって最適な環境を維持するため、ハウスの窓やカーテンの開閉、二酸化炭素を発生させる機械を稼働してくれます。土の中ではセンサーが水分と肥料の量を感知し、水や肥料を自動で与えてくれるなど驚く技術がどんどん出てきます。スマート農業によって省力化はもちろん、人の手よりもきめ細かな作業で、ミニトマトが病気になりにくく、収穫量も増えるそうです。

「第3回 生産現場訪問授業」ミニトマトの農場での体験と農業ビジネスを学びました!

午前中の3つの体験学習をやり遂げた子どもたちは、お世話になったみなさんにお礼を言って農場を後にし、広島市安公民館へ移動しました。

子どもたちが関心をもった「Farm Takeuchi」の魅力や強み、
農業の課題を解決するカギに。

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起農みらい塾ディレクターの大野先生は、「この塾の目的は未来の農業を変えるため!日本の農業を救うためです!」とあらためて子どもたちに話し、午後の授業を始めました。
“ビジネスのすごさ”という観点でFarm Takeuchiでの体験で感じたことをワークシートに記入し、グループ内でシェアして箱崎先生の前で発表しました。「お客さん目線で仕上げるパック詰め」、「スマート農業のすごさ」などが体験の中でもインパクトがあったようです。

「第3回 生産現場訪問授業」ミニトマトの農場での体験と農業ビジネスを学びました!

次に生産者の話を聞き、その魅力をワークシートに書き込む作業です。Farm Takeuchi 代表の武内先生がオンラインで登場しました。
武内先生は農業をやる前はレーシングドライバーだった異色の経歴をもっています。「サラリーマンは自分には合わない。高齢の父が農業をやっていた関係で引き継ぎ、自分がやればもっと儲かると思った」と農業をはじめたきっかけを話してくれました。はじめは水菜や小松菜を生産していたが、JAに相談して4年前にミニトマトに転換したとのことです。取引先はJAを介して約95%以上は広島市内の量販店で、少量はフリーマーケットサイトへの出品販売。Farm Takeuchiのモットーは“お客さまに求められるものを作る”こと、これは一年中安定的にミニトマトを出荷できる生産体制、スマート農業を導入しているFarm Takeuchiの強みにもつながっていると思いました。「自然相手の仕事で思い通りにならないことがあります。でも、みんなにおいしいトマトを食べてもらえるように頑張っています」と話す武内先生の表情は真剣そのもの。子どもたちに農業の素晴らしさを伝えようとしていることが感じられました。
農業(Farm Takeuchi)の解決したい課題について、箱崎先生は「住宅に近い場所で農業をやっているので、近隣に迷惑をかけず作業をしないといけない。住民の理解があっての農業だと思うからです」と話し、子どもたちは農機具の騒音や肥料の臭いなどに配慮して作業していることを知りました。武内先生は生産者の高齢化や労働力不足、自給率の低さによる食料問題など危機感をもって対処する必要性を説きつつ、「問題解決にはスマート農業が一つのカギになりますし、これからの農業には絶対必要です!」と語る口調に、Farm Takeuchi 代表としての農業への自信がうかがえました。

「第3回 生産現場訪問授業」ミニトマトの農場での体験と農業ビジネスを学びました!

子どもたちが「Farm Takeuchi」のビジネス戦略を4P視点で紐解く。

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大野先生からビジネス戦略の4P視点、Product(商品・サービス)、Price(価格)、Place(販売場所・提供方法)、Promotion(広告・販売戦略)の説明を受け、4P視点を踏まえて子どもたちから武内先生への質問が始まりました。「どうしてスマート農業を取り入れたのですか?」との質問に、ベテランのトマト農家の技術に早く追いつくための導入であったことを話していました。さらに、Farm Takeuchiのミニトマトは高単価であること。高くても売れるのは、量販店や消費者のニーズに応える年間通しての安定的な出荷と広島県内にライバルが少ないこと。ミニトマトを売るための活動・営業に関して、販売先のJAとのコミュニケーションが重要であること。さまざまな質問を通じてFarm Takeuchiのビジネス戦略が明らかになっていきました。大野先生からも質問がありました。「ライバルが少ないのはなぜですか?」。武内先生は「冬場に高い暖房代をかけて作る人はいません。でも、私たちをきっかけに同様のスタイルの生産者が増え、産地化が進んでくれればと思います。」と仲間を増やしたい思いを込めた言葉が聞かれました。質問が終わり、武内先生の話を受けて4P視点を整理整頓していくグループワークの時間です。大野先生は「4P視点の整理にプラスして、楽しく自由な発想でアイデアをつけ加えていいよ!」と子どもたちの自主性を引き出す言葉を投げかけました。

ミニトマトを好きになる、売れる、トマト農家の先生が喜ぶアイデア続出。

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グループ発表では「トマトまつりを開催してファンを増やしていく」、「トマトが苦手な人が食べられる加工品を開発する」、「違う品種の食べ比べができるようにする」、「かわいいキャラクターを考えて販売する」、「トマト好きにするために、美味しいトマトを離乳食にして与える」など数々のアイデアが飛び出しました。武内先生と箱崎先生は熱心に聞き入り、アイデアを取り入れたいと話し満足そうでした。
そして、最後に武内先生から子どもたちへ感謝のメッセージです。「今日は暑い中、ハウスを見てくれてありがとう。ぜひ、みんなと友達になりたいです。いろんなアイデアを教えてほしい。私も勉強になった1日でした」子どもたちは武内先生と箱崎先生へお礼を伝え、今日、気づいたこと、印象に残ったことなど「ふりかえり」を書いて終わりました。

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